水曜2限(2011年度)


 「アドバンスト国際法」は、「国際法入門」と「国際法A(総論)」を履修済みの3年生を対象とする、演習と講義両方の性質をあわせ持った半期完結の授業です。少人数のクラスで教員と学生、学生同士が対話をすることによって国際法の深い知識を修得することを目的としています。


 この授業では、まず、国際社会で起きているさまざまな問題を検討しながら、「国際法入門」と「国際法A(総論)」で扱ったさまざまな用語や概念の正確な意味と背景をしっかりと把握することを目指します。そのために重要な国際判例や勧告的意見をより深く読み込む作業もおこないます。さらに、「国際法C(紛争解決)」で扱われる内容(国際裁判制度、自衛権、安全保障、PKO、国際人道法など)にも踏み込んでいきます。


 そうして得られた国際法に関する知識を前提として、国際社会の基本的な規範原理を把握することを試みます。具体的事例を使って授業を進めていきながら、国際法的な思考に基づく正義感やバランス感覚を醸成することが最終的な目的です。授業における報告と議論を通して、「グローバル化時代における国家のあり方・国際法のあり方」という大きな問題について何らか立場を共有することができればと考えています。


 授業ではできるだけ発言しやすい雰囲気を作るつもりです。自分の発言、あるいはそれに対する反対意見・・・これらは意外と記憶に残るものです。なにより、活発な意見交換がこういった少人数の授業の醍醐味でもあります。また、意見交換をするためにはある程度の知識や事前準備が必要です。意見交換を通して逆に知識が定着したり、新たな問題点が浮上したりする・・・このような循環が生まれることが理想です。


 参考までに、2006年度は「グローバリゼーションと国際法」をテーマにして、主権国家の機能の変質、南北の経済格差問題、グローバリゼーションの功罪について履修者に報告してもらい、皆で意見を出し合いました。次に「グローバリゼーション時代における“壁”」をテーマに、国際司法裁判所から出された「イスラエル分離壁に関する勧告的意見」を皆で詳細に検討しました。2007年度は、「竹島問題」、「カンボジア虐殺」、「瀋陽の日本領事館かけこみ事件」、「京都議定書の不遵守手続」、「イラク戦争」について法と政策の両面から検討しました。2008年度は、基本書の内容を順番に報告してもらうことによって「国際社会」という言葉が意味することや「主権」や「国際組織」について、新しい視点を獲得してもらいました。さらに、外務省の専門職の試験問題を皆で検討するという、実践的な取り組みもおこないました。国際判例の検討も随所に取り入れています。2010年度についても基本書の講読・内容理解と個別報告を中心に活発な議論がおこなわれました。最後に新司法試験の国際法の問題にもチャレンジしてもらいました。

 
 「アドバンスト国際法」を受講することによって、国際法に関する最新の知見や動向を知るとともに、時事的な諸問題を国際法の視点から眺め、その評価を人に伝える能力が獲得されます。受講者にとってそれは大きな自信になるでしょうし、そこで得られるさまざまな能力や経験は、実社会に出てからもさまざまな形で役立つはずです。

                                                 
Last updated on July.26, 2011