水曜1限(2011年度後期)

■人間にとっての自然環境

 1972年にストックホルムで採択された人間環境宣言は、その宣言1で次のように人間と自然環境の関係を言い表しています。「人は環境による創造物であると同時に、環境の形成者である。」この表現には西洋的な自然観が見え隠れしている部分が多少あるかもしれませんが、いずれにせよ人間は大気、水、土壌、生態系などに包み込まれている存在であると同時に、それらに対して一定の作用や影響力を及ぼす能力を持つ存在です。
 
■環境破壊の進展

 自然に包まれた存在である人間は、しかし、自然が持つ包容力に甘え、また自らを過信し、しばしば自然に対して傲慢な態度を示してきました。あるいは、経済的・物質的な発展を追及し、人間のあくなき欲望を満たすために結果的に貴重な自然環境を意識的に−場合によっては無意識のうちに−破壊してきました。そのペースは今後ますます高まることが予想されます。

■自然環境を国際法によって守る

 当初は公害問題として現れた環境問題は、その後、国境を越えるようになり、さらには地球規模で対処すべき大きな問題も含むようになりました。こうした国家間の、そして地球規模の環境問題に対して効果的に対処するためには国際法が必要となります。こうして自然環境に関する国際法規範の総体である「国際環境法」が発展してきました。国際法のなかでも比較的新しい分野だといえるでしょう。この講義では、国際環境法の概要をその歴史や特徴とともに理解してもらい、人間が生活するうえで必要不可欠な要素である自然環境について国際的な視点から、その持続的な利用や保護について考えてもらいたいと思います。

■国際環境法の講義ではどのようなことを学修するのか

 この講義では次のような内容について、最新のニュースや動向を踏まえながら解説していく予定です。

 ・国際環境法の確立
 ・国際環境法の特徴
 ・越境汚染損害に対する責任
 ・海洋環境の保護 
 ・生物多様性の保護
 ・地球温暖化の防止
 ・貿易と環境
 ・環境保護のための一方的行為
 ・廃棄物・有害物質に対する規制

※講義計画の詳細については、「法学部講義要項(平成23年度)」または近畿大学のサイトに掲載しているシラバスを参照してください。

■学修上の注意点

 国際環境法は国際法の一分野ですので、国際法の最低限の知識が求められます。また、自然環境を国際法によって保護するためには、国内の環境法との連携も重要になってきます。この授業ではできるだけ日本の環境法にも言及することで、両者のつながりを意識してもらいたいと考えています。重要な国際判例はもちろんのこと、環境問題を扱った国際判例・国内判例にも多く触れる予定です。
 理解を促進するためには毎回配布するレジュメに加え、教科書や資料を使って予習と復習をしてください。疑問点があれば早めに聞きに来て解決しておくとよいでしょう。なお受講者数によっては、知識の定着と出席管理を兼ねたミニッツペーパーを課す場合があります。

■教科書・参考文献

 西井正弘・臼杵知史編 『テキスト国際環境法』(有信堂、2011年)
 松井芳郎 『国際環境法の基本原則』(東信堂、2010年)
 西井正弘編 『地球環境条約−生成・展開と国内実施』(有斐閣、2005年)
 水上千之ほか編 『国際環境法』(有信堂、2001年)
 石野耕也ほか編 『国際環境事件案内』(信山社、2001年)
 磯崎博司 『国際環境法』(信山社、2000年)
 『地球環境条約集』(中央法規、2003年)
 
 
Last updated on Apr.13, 2011